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2009年6月27日 (土)

必殺仕事人2009の私的総括

 昨日、必殺仕事人2009が最終回を迎えました。
 先週の話とあわせて2話完結です。

 総論として、「よくがんばりました」と言えます。
 テイストとしては、前期必殺のハードボイルドさを一生懸命再現しようとしてくれていたと思います。ほんとによくがんばってくれました。

 ただ、いくつか、細かい部分で、残念に思ったことがあったのも事実です。そしてそれは、もしかすると、演出家や脚本家、監督の意図するところではなかったかもしれません。

 たとえば。

 捉えられた涼次の拷問シーンは賛否両論分かれているようです(いわく、ひどすぎ、いわく、あれはアリ)が、あの拷問シーン、最初のインパクトにくらべて、徐々にトーンダウンしてましたよね?実際リアルな拷問なら、涼次の大事な女性=如月が捉えられ涼次の目の前で責められる場面では、もっとひどい目にあわせられると思います。それができなかったのは夜9時からの番組であるということと、近年の放送ルールの厳粛化によるものだったに違いないでしょう。アイドルが多数出ている番組であるという性格も見逃せませんね。でも、場面の説得力は消沈しちゃうんだよなあ。
 きっと監督も脚本家も演出家も、もっとえぐいことは頭にあったでしょう。でもそれはようするに、できなかったんですね、現代の9時放送のテレビ番組としては。

 それと、一件落着してから、大八車に乗って涼次が旅に出ます。そのときの涼次があまりにキレイ。月日がたっているのかもしれないけど、あの流れではやはりもう少し傷が残っているとかアザがあるとかしてほしいところですが、しかし人気アイドルともなると、そういう演出をさせるのは本人はよくても事務所がちょっと、ということがあったのかもしれません。でもそうすると、あの拷問シーンはたいへんよくがんばりました。(もっと凄惨になってよかったんですが、それができなかったのは先の理由ということで仕方なかったと理解します)

 あと、主水は死にませんでしたね。小五郎とバトンタッチするために今度こそきっちり死ぬかなと思ったのですが、まだ主水は必要と言う判断がされたのでしょうか。私はちょっと残念な気もしたのですが、ほっとしたのも事実です。あと、だんだん主水が「翔べ!必殺うらごろし」のおばちゃん(市原悦子)みたいになってきて、それはそれでありだなあ、と思っている私がいます。

 で、次に演出、脚本の部分で残念に思ったことですが、まず涼次がお菊を救うために大立ち回りした挙句、敵の手に落ちる場面。私、それにいまいち感情移入ができないでいました。同じ敵の手に落ちるにしても、同じお菊を助けるにしても、他にもっと視聴者が納得できるやりかた(もっていきかた)があったのではないかと思います。大騒ぎで切りあっているところからふたりして隠れることに成功していたわけだし、別に涼次だけが無理に打って出る必要なんかないじゃないですか。ふたりで協力して脱出した方が成功率が高いように思えてならない。違いますか?涼次があの長い錐のような武器で、あの技で、十数人の敵に打って出るのはどう考えてもありえないですよ。

それに私、必殺に多人数のちゃんばらはなるべく不要でお願いしたいと思っているんです。暗殺者の技は、一対多数で発揮できるものではないですよね。

 同じく、最後の渡辺小五郎の大立ち回りも同様。あんなのは桃太郎侍とか暴れん坊将軍に任せておけばよく、無用の流血は仕事人として避けていただきたい。殺しすぎです。
必殺剣劇人という異色のシリーズでは大立ち回りが定番になっていましたが、彼らは決して、的(悪いヤツの親分とか主犯格の連中)以外は殺しませんでした。ただ、怒りのこもったあのまさに憤怒の形相は、平成の必殺の看板として定着した感があります。中村主水の不気味な切れ味とはまた別の、持て余す清廉な怒りというような、そんな小五郎の感情にちょっとテレながらも引き込まれてしまうのです。

 涼次が仕置きする場面は、もうちょっと、こう、火野正平にも抵抗があってよかったように思うし、涼次も目が見えなくなってしまったのならもっと無様な殺しようでもよかったと思います。しかし如月を痛めつけてそれを涼次に見せ付けることで仲間の名前を吐かせようとしていたのですから、目を見えなくする拷問者はいないように思うのですが。(自害防止のために猿轡するのも必須ですよね、あの場面)

 と、いろいろケチをつけてしまってはいますが、しかし総論、私はこの作品はよくやってくれたと感謝しています。こまかなデティールの部分で文句を積み重ね、こんな必殺ないほうがよかったなんてぜんぜん思いません。

 必殺をテレビシリーズとしてよみがえらせてくれたという功績だけでも大きいし、渡辺小五郎というキャラクターを生み出せたことも大ヒットであるといえるでしょう。私は支持します、東山くんの小五郎。

 また小五郎と同僚の同心、大河原伝七が(未熟な、浅はかなではあるけれど)仕事人だったという設定もサプライズでしたしよかったです。小五郎と伝七の違いは、仲間に裏家業のなんたるかを知悉している主水がいたかどうか、というところだったのかもしれません。

 それから火野正平の出演はうれしかったし演技は鬼気迫るものがありましたね。特に最初の方。火野正平は、前期必殺ではおなじみだったし、本作(最終話)のモチーフであり目標であるのは新・必殺仕置人の最終回だと思うのですが、そのシリーズで火野正平はレギュラー出演していました。これは偶然の一致などではなく、スタッフの小粋な計らいなんだと確信します。そういうところが、旧作からのファンをもテレビ画面の前に引っパリ出す力となるのです。

 全22話と、近年の番組にしては長く放送された作品となりましたが、私はもはや、次作の登場を心待ちにしています。あるいは映画で、エグすごい必殺仕事人にあってみたいなあとも思います。R-○指定があってもいいかもしれない、とすら思う私です。必殺は、ピカレスクロマンなのですから。

 
 
 

 
 

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