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2008年11月23日 (日)

聖戦2

<連作ものです。聖戦1は こちら です>

 代打で勝ち越し打を放った梨田は近鉄黄金時代の戦士だったが、すでに今シーズン限りでの引退を決めていた。最後に花道を飾りたいという彼の気持ちが、このポテンヒットを生んだに違いない。また鈴木の滑り込みがセーフとわかったとき、バファローズナインがグランドになだれ込み、熱血漢、中西太コーチと鈴木貴久ところがりながら抱き合った。この様は、まさに男心を熱くさせる絵だった。 

 しかし、9回の表で野球の試合は終わらない。 

9回裏、ロッテオリオンズの攻撃。小野をリリーフした吉井だが、微妙な判定に激高し、おさまりがつかない。続く打者、代打の山本功児にボールを二球続けたところで、仰木監督はエース阿波野をマウンドに送った。せっかく勝ち越したゲーム、絶対にモノにしたいというわけだ。
 しかし頼りの阿波野、2死ながら満塁と攻め立てられる。阿波野の出来は本調子から遠かった。何しろ2日前に完投したばかりなのだ。
 阿波野秀幸は前年1987年にデビュー、好敵手西崎幸広(日ハム・新人)としのぎを削り新人王を獲得(15勝12敗、防御率2.88、奪三振数201)。このシーズンも14勝(12敗)、防御率2.61と大活躍している。もちろん先発ローテーションの主軸だが、大一番のこの場面、役割は違っても頼りたくなるのがこのサウスポーだ。エースの称号を与えられた男なのだ。ただ者ではない。心を、体を奮い立たせるプライドを、この男は持っている。
 異様な雰囲気に飲まれそうになりながら、さすが阿波野だ。打者森田をこの痺れる場面で三球三振に切ってとる。その瞬間、川崎球場にはごうと歓声が渦巻いた。仰木監督の采配、的中だ。
 近鉄バファローズは終盤の劇的逆転でダブルヘッダー第一戦をものにし、優勝の望みを続く最終戦につないだ。

チーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9
近鉄 0 0 0 0 1 0 0 2 1 4
ロッテ 2 0 0 0 0 0 1 0 0 3
  1. 近 – 小野、吉井、阿波野 - 山下、古久保、梨田
  2. ロ – 小川、牛島 - 斉藤、小山、袴田 
  3. 勝・ 吉井 10勝2敗24S   負・ 牛島 1勝6敗25S  S・ 阿波野 14勝12敗1S 

    本塁打・  近 – 鈴木20号(5回小川)   ロ – 愛甲17号(1回小野)


 18時44分、第二試合開始。

 オリオンズは園川一美、バファローズは高柳出己を先発に送る。
 先取点はオリオンズだった。2回裏、オリオンズの5番、ビル・マドロックがソロホームランを放つ。
 ビル・マドロックは「狂犬」という物騒な愛称と、メジャーリーグで4度の首位打者という輝かしい実績をひっさげてオリオンズに入団してきた。もちろん、三冠王・落合博満の抜けた穴を埋めるためである。しかしこの狂犬、日本では一向に咆えなかった。成績不良で今季限りの解雇がすでに決まっている。その男の意地の一発が、ラストバトルのギアをひとつあげた。
 0-1で迎えた6回表にはバファローズ4番、オグリビーがセンター前にタイムリーを放ち同点。さらに7回表にはバファローズ打線・下位の脇役に一発が続けて出る。吹石徳一(今シーズン2本目。なお吹石も今シーズン限りで引退する)と真喜志康永(今シーズン3本目)だ。
 試合終盤の7回で3-1である。しかも主軸だけでなく、脇役も得点した。いわゆる、勝ちパターンだ。その上、ブルペンにはまだ吉井もいる、阿波野もいる。連投であることに違いはないが、しかしシーズン最終戦だ。次を考える必要はない。

聖戦3につづく

 

 

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