« 元祖むらさき観戦記-9 | トップページ | パーフェクトリレー »

2007年11月 1日 (木)

元祖むらさき観戦記10

9.絶対J1  ヴィッセル神戸戦(0対2 勝ち点0)

その1

 ホーム最終戦では、私はファンクラブからいただいたゲーム観戦券を利用する予定でいた。すなわち、このゲームは無料で見ることが出来る。私を含め、家族全員がファンクラブなので、家族みんなでサンガの崖っぷちの戦いを見に行ける。故郷の父も、母も、義理の妹も、一緒に観戦に行く。今やサンガホームゲーム観戦は、我が家族の一大イベントである。
 前夜、サンガのホームページを見てみた。
 以前からゲーム終了後には定期的にチェックしていた私だが、仙台戦以後、ピム監督が更迭されるという大事件が発生しており、チーム動向が気になって仕方がないので、ここのところは毎日チェックしていたのだ。そこで異変に気付いた。
 サンガのホームページでは、チームマスコットのパーサくんが全試合結果にあわせたメッセージを話す。たとえば、「黒部ハットトリックでセレッソ大阪を撃退!日本のエースはやはりこの男だ」とか「無念の敗戦・・・・それにしても今日のサポーターの盛り上がりはすごかったなあ」等である。メッセージは基本的に次節の試合終了後まで変わらない。異変とは、そのメッセージが変わっていたことである。全文は忘れてしまったが、メッセージは「合い言葉は、絶対J1!」という言葉で締めくくられていた。
 「おい、合い言葉は絶対J1、だってよ」
 冬にむけ、息子の帽子を編んでいた妻に声をかけた。妻が編み物の手を休め、モニターをのぞき込む。
「へえ、合い言葉は絶対J1か。でも、こんなことになるなんてね」
妻がいう。
「直接対決に、ふたつとも負けちゃったからなあ」
深いため息とともにいう私。
「それだけのチームだったってことでしょ」
妻が珍しく手厳しいことをいうので、ぎょっとする私。
「・・・黒部のPK、かなあ」
煙草に火をつけながら、私がいう。大分戦のことだ。
「けど、あの試合で失敗したから、市原戦に勝てたんじゃないの?」
その通りだ。
 そもそもこの会話自体、我が家で何度も繰り返されている。幾度勝ち点の計算をしたことか。あの試合で勝ち点3がとれてれば、いや、1でもいい・・そうしたら・・・あの時、相手へのマークがこうだったら、あの時キーパーがもう何センチか出ていれば・・なら・・・。
 スポーツに「たられば」は禁句だが、スポーツ観戦にはありだと常々私は思っている。「たられば」がイマジネーションを豊かにし、観戦を重層的なものにする。しかし、結果が出た後の「たられば」話はむなしくもある。
 翌朝早く、私たちはクルマに乗り込み京都へ向かった。暗いうちの出発だった。一宮のパーキングエリアで日の出を迎えた。朝の空気は凛と冷えていたが、赤く差し込む朝日があたたかさを運ぶ。太陽がみるみる高度をあげてゆく。息子たちはしばらくその様子をじっと見ていた。やがて満足したのか、ふうと大きく息をはき、
「さ、行こう」
と私を促した。
 運命の日があけた。選手たちはどんな気持ちで今朝を迎えたのだろうか。

|

« 元祖むらさき観戦記-9 | トップページ | パーフェクトリレー »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/66200/8672891

この記事へのトラックバック一覧です: 元祖むらさき観戦記10:

« 元祖むらさき観戦記-9 | トップページ | パーフェクトリレー »