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2007年11月15日 (木)

元祖むらさき観戦記14

その5

 キックオフ前から、実は私はかなり酔っぱらっていた。寒いからといって、少々熱燗を飲み過ぎてしまったらしい。
 ファインダーを覗いても、選手をおっかけられない。無理すると気持ち悪くなってしまう。大事な試合だというのに、情けない話だ。

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 しょうがないのでカメラはあきらめる。
 サンガの立ち上がりは、やっぱり今日もかたかった。サッカーすることが、楽しそうでない。顔の表情までは見ることができないが、もしかすると彼らの顔はひきつっていたかもしれない。
 先取点をどちらが取るか。それがこのゲームの勝敗を決することになるだろうと私はにらんでいた。先取点は欲しかったが、しかしとれそうな気配はなかった。
 「この分だと、とても、勝てそうにない」
これはファン心理が生み出すペシミズムでもなんでもなく、観察から導き出される当たり前の推論であった。DFに問題を抱えている・・・。
 案の定。前半11分、急造DFビジュのクリアミスから1点を献上する。神戸FW幡戸のゴールだ。
「ほらね」Photo_9
私は心の中でつぶやいた。
「これで決まった。降格だ」
コップの中に残っている酒を、暗澹たる気持ちと一緒に胃袋に流し込む。
 しかし、なってない。
「直接対決で3試合とも先制点をしかも前半にとられているようじゃ、いけない」
このことである。
 前半のそれ以降は、正直あまり記憶にない。私の中のゲームはもう終わってしまっていた。ただ、DFのビジュがセンターラインの少し手前で口惜しそうに前線にパスを送るシーンが瞼に焼き付いている。
 ビジュは、攻めたそうだった。センターラインから少なくとも後10メートルが、ビジュの仕事場だった。そこに侵入していけない。そういう役目ではない。つらそうだったし、つまらなそうだった。
 後半にも1点を加えられ、いよいよ敗色濃厚。
 終了間際、黒部や松井も果敢に攻める。とりわけ、松井大輔がフェイントを駆使し、たったひとりで相手DF群の扉をこじあけて放ったシュートは圧巻だった。ボールは確かにキーパーの脇を通り過ぎたのだが、その後ろにまだDF北本がいた。北本は松井のシュートをヘッドでクリアした。観客の歓声は、一気に悲鳴に変わった。息子達も天を仰いだ。
 しばらくして長いホイッスルが吹かれた。ゲーム終了である。
 サンガは、今シーズンのホーム最終戦を勝利で飾ることができなかった。サンガは西京極初勝利を神戸にプレゼントしてしまった。そしてサンガは、奇跡でも起こらない限りJ1残留は無理、という状況になってしまった。

Photo_11

  選手が挨拶にまわる。一様に肩を落とし、まともに観客席を見上げることができた選手など誰もいなかった。ファンやサポーターからは励ましの声とそれから罵詈雑言の野次がとんだ。胸をしめつけられる場面だった。
 我が子は選手たちに何も声をかけられないでいた。
「これでJ2降格?」
下の息子がきく。
「まだ決まったわけじゃないけど・・・」
歯切れ悪く、私が答える。
 明日、大分が市原に勝てば、サンガの降格は決定的になる。しかし例え大分が敗れたとしても、サンガの苦境はかわらない。現在大分の勝ち点は24、得失点差ではサンガのはるか上にいる。サンガの勝ち点は23のまま。残留争いのもうひとつのライバル仙台も、現時点で勝ち点23ではあるが得失点差でサンガの上をいく。
 サンガが勝ち点で大分と仙台を上回るためには、最終節でサンガが勝ち、大分は明日の試合に負け、最終節の大分対仙台戦がドローで終わる、というシナリオしかない。ありえない話じゃないが、ムシのいい話でもある。
 そもそも残留争い直接対決3連敗のサンガに、最終節を勝ち抜ける力があるのだろうか。相手は強豪、ガンバ大阪なのだ。
「相当、きびしくなったことは確かだな」
私の言葉に、上の息子が絞り出すようにこたえる。
「ああ、次の試合、勝って欲しいなあ」

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