« 京つどエピソード2 「鍵がない!!」 | トップページ | 京つどエピソード2「鍵がない!!」完結編 »

2006年11月13日 (月)

京つどエピソード2「鍵がない!!」続

昨日の続きです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「ロックインですか?よくあるんです。すいません、この書類にサインだけもらえますかね」

JAFの人は愛想良い口調でそう言われた。サインは、ロックインを解除する過程で万が一傷がついても責任はJAFにおわしません、という内容の書類にする。

「いやね、私この作業苦手ですねん」

JAFの人が苦笑いを浮かべながら言う。「苦手ってさ・・・」私は内心不安になる。ともあれサイン。ところが私が書類に住所氏名を書き終えないうちに

「あ、開きました」

はやっ!!   ・・今から思うに、万一のために書類にサインする必要はもちろんあるけど、ドアロックのはずし方やその道具を見せないために、サインを書かせることで視線をそらす効果も期待しているのかもしれない。

 ともあれ車のドアは開いた。中にあるジャンパーを手にとり、ポケットを探る。

鍵はない。

 あれ?もう一度まさぐる。やっぱりない。他にポケットあったっけ?車の小物入れには?あ、ハンドバックか?座席の隙間?そうかそうか、後ろにある箱か・・・・・

 どこにもない。ロックインしちゃってたわけじゃなく、鍵は、私がハイキングの途中で落としてしまったってこと??ええ!!?

「あのー、鍵ないんでっか?」

「はい・・・」

「ポケットの中とか・・・」

「ありません」

「カバンの中とか・・・」

「ありません」

「よく見はりましたか。けっこうあるんですよ、実は持ってたって人」

「・・・ないんです」

「・・・・そうでっか、そりゃお困りですなあ」

あたりはすっかり暗闇だ。暗闇にも重力があるんだとその時知った。風が吹く。ことのほか、寒い。

 人のいいJAFの人は、懐中電灯で車のあちこちを一緒に探してくれた。大人ふたりがかりで15分くらい探した。でも、どこにもない。ああ。

 JAFはこういうとき、何かワザを持っていないのかな、と私は思った。鍵をなくしてしまう運転手って、多くはないと思うけどまったくないわけでもないと思う。そんなときにJAFを頼る人もいそうなものだし、それに対応するための手段をJAFが持っているのは当然じゃないか、などと勝手なことを思う。

 なんで言い出してくれないのかなあ。そうか、自分の車じゃないのに「鍵なくした、JAFさんエンジンかかるようにして」なんて言う悪い人がいてそれに対応してたら、JAFは犯罪に加担することになるよな。・・・でも犯罪じゃなく、普通に困ってる人だっているだろうし・・・でもやっぱ犯罪防止が優先かな。棲みにくくなったよな、日本も。あーやだやだ。・・・でも、思い切って聞いてみるか・・・・。

「あのー、こんな時どうしたらいいんでしょう・・・」

JAFの人はちょっと考えてから言った。

「家に鍵を取りに帰るか・・・」

「うち、長野県なんです。往復9時間くらいかかります・・・」

「うわ、そらたいへん。今日帰られる予定なんですか?」

「いえ、今日は滋賀県に泊まります。そこまでの足にしようと思ってたんです」

JAFの人は親身になって考えてくれている。

「そうでっか・・・。車は他にはなんですか?」

「マイクロバスが1台あります。この車がいよいよダメだったら、知り合いの車を借りるとかレンタカー借りるとかして、なんとか今日のところは滋賀に送り届けることはできると思うんですが」と私。

「そしたら長野に電話して、鍵を速達とか宅急便とかで送ってもらわはったらどうですか?ここの駐車料金なんて安いもんやし(夜間は1時間200円)」

でも、今時計は6時をまわっている。郵便局の速達は浪合からは無理。宅急便もこの時間から翌日ってのはちょっとタイヘンだろう。何よりスタッフは全員こっちに来ていて、浪合で対応してくれる身内の者はいない。知り合いはたくさんいるが、夕方の忙しい時間帯、また団欒の時間帯に迷惑をかけるのも気がひける。

「すいません。ちょっと無理です」

「ですよねえ。うーん。じゃ、お友だちからお車貸してもらって、長野まで往復されたら・・・けど今からじゃたいへんですよね」

「けど、いよいよとなれば、それも覚悟します。ただ、一緒に来てるこどもたちの面倒も見てやらんといけませんし」

私はほとほと困った。それにしてもJAFの人は本当にいい人だ。一緒になって考えてくれている。

「・・・方法がないわけでもないんですわ」

ややあって、JAFの人が言った。

「鍵穴から鍵をつくる専門家がいるんですわ。職人の世界ですけどね」

「ほんとですか?」

私はうれしくなった。なんだそれならそうと、早く言ってくれればいいのに。

「ただね。お金もかかるんです。値段のない仕事というか・・・。」

「どのくらいですか?」

「1万円から・・・場合によって3万円とか」

JAFの人が言う。おいおい、気軽な額じゃないぞ。

(続く)

 

|

« 京つどエピソード2 「鍵がない!!」 | トップページ | 京つどエピソード2「鍵がない!!」完結編 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/66200/4191524

この記事へのトラックバック一覧です: 京つどエピソード2「鍵がない!!」続:

« 京つどエピソード2 「鍵がない!!」 | トップページ | 京つどエピソード2「鍵がない!!」完結編 »