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2006年11月14日 (火)

京つどエピソード2「鍵がない!!」完結編

3回目の連載となってしまいました(笑)

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「とりあえず、電話してみまひょか」

JAFの人がいう。情報収集は大事だと思い

「お願いします」

私がいう。

 携帯を取り出し電話で鍵職人さんと話しをするJAFの人。電話の様子から、馴染み人だということがわかる。

「ええ、それでね、遠いところの人やし、ずいぶん困ってらっしゃるんですわ。・・はい。や、大丈夫やと思います。はい。で、どうるかわかりませんけど、一応いくらくらいでやってもらえそうですかね。ええ、鍵の作成の費用なんですけど。・・・はい。長野の方です。はい。・・・わかりました。ほなお願いすることがあったら、また電話します。おおきにありがとうございました。」

電話が終わった。JAFの人は私の方を見て言った。

「1万5千円くらいでやれるっていうてます。ただ、鍵屋さん今、宇治にいやはるんですわ。すぐ飛んできても1時間はかかります。どうしはります?」

 か~1万5千円か~。実家(←京都市内にある。私は京都生まれなのだ)にただで車かりて浪合まで往復しても高速代とガソリン代で1万5千円はゆうにかかる。厳しいとこついてくるな~。しかし、役目柄長時間現場を離れるわけにもいかないし。ここは飲むしかないな。

「はい、お願いします。助かります」

「すんません、後確認なんですが、免許証と車検証見せてください。お宅の車ってことが確認できないと、鍵つくれませんねん」

 またしても難題だ。この車は、私のではない。村から借りている車だ。免許証の名前と車検証の名前は一致しない。その上私たちのところは村の外郭団体であって村そのものではない。私は村の職員ではないのだ。そこらのことを、車検証と免許証、それから名刺に健康保険証を見せて縷々説明した。JAFの人はじっと聞いてくれた。

「・・・そういうわけなんです。ややこしいんですが、おわかりいただけましたか?」

おずおずとたずねる私。犯罪者ではないよ、という主張をしているわけである。今日の人相風体はそれほど悪くないはずだ。髭も剃ってある。

「わかりました。不審な点はない思います。鍵屋さんにもそう伝えときます。いや警察からの指導が結構厳しくてね。不快な思いさせてたらすんません」

JAFの人はそう言ってくれた。よかった。ほっとした。JAFの人がもう一度鍵屋さんに電話をしてくれた。私も電話を借りて直接話しをした。鍵屋さんの口調は穏やかで紳士的だった。怪しい感じはまったくしなかった。そのことにも私はほっとした。

「今、私は宇治にいますねん」

と鍵屋さん。

「すぐにそちらに向かいますけど、どうしても1時間くらいはお待たせすると思います。よろしいでっか」

「はい、待たせてもらいます。宜しくお願いします」

と私。1時間待つということは、私はつどい参加者のこどもたちと京の宵の町を散歩することはできない。しかし背に腹はかえられない。私の班は分割して他の班が面倒見てくれている。時計を見ると、5時45分。ずいぶん時間が経過したように思えたが、まだそんな時間だったのか。

「よかったですね。ほしたら私、これで一旦失礼します」

親切なJAFの人はそう言って帰られた。本当に助かった。私は幾度もJAFの人に頭を下げて見送った。

 1時間も経過せずに、鍵屋さんは来てくれた。鍵屋さんはステップワゴンで駆けつけてくれた。ステップワゴンの後部座席は、鍵屋さんの仕事場になっていた。いろんな機械がおいてある。 

「宜しくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

互いに挨拶を交わした後、早速仕事にかかる鍵屋さん。幾度も車を往復しながら、鍵づくりを進めてくれる。かなり気温は下がってきている。吐く息はもちろん白い。

 わかってはいたが、簡単な仕事ではないようだ。微調整に時間をかかるのか。ステップワゴンの中から機械音が絶えずする。音がとまったかと思うと鍵屋さんが出てきて私の車の鍵穴に入れ、動作確認をし、また車に戻る・・・その動きを繰り返す。

 20分ほど経過したか。

「ちょっと確認してみてください。これでええと思います」

鍵屋さんが1本の鍵を私に渡してくれた。その鍵で、まず運転席のドアのキー操作をする。スムースに開け閉めができた。続いてエンジン。なんのひっかかりもなく、エンジンはかかった。助手席、後部座席、トランクルームとすべての鍵穴に鍵を入れ、どこも問題なく操作できることがわかった。

「大丈夫です。全部OKでした」

「そうですか。ほなよかった」

ああ、ありがたい。これでこの車は機能を取り戻す。

 その後、免許証と車検証を見せ、「キーをつくってもらいました」という証明書にサインをした。免許証と車検証の名前が違うことについては、すでにJAFの人から詳細を聞いていたらしく、「事情はようわかってます」と一言。

 料金は1万5千円ちょうどだった。財布から支払い、一応領収証をもらった。

「遠いところからおいででしたのに、たいへんでしたな」

鍵屋さんはそういってくれた。

「いやあ、本当にお恥ずかしい。おかげでたすかりました」

私は頭を下げた。本当に助かった。

 鍵屋さんが仕事道具を仕舞っておられる間に、私はこどもたちとの待ち合わせに向け出発した。有料駐車場だったので駐車料金がかかるのだが、鍵屋さんの駐車料金も渡してあげた方がよかったのかな、けど請求金額はきっちり払ったからいいよな、などと思いつつ、ゲートを出た。

 こどもたちとの待ち合わせ場所は京都市役所である。趣のある建物だ。集合時間を30分遅らせておいてもらったが、私が到着したのはその20分前だった。

 今日、伏見稲荷の山をハイキングする際、本殿のところでおみくじを引いた。

「凶のち吉」

というあまり見ない内容だった。失せ物、出ず、とあった。わろし出来事あれども、ややあって後、笑う、という記述もあった。まったく今日の私にぴったりと当てはまる。ちょっと背筋が冷たくなった。

 志賀の宿泊予定地まではまだ1時間ほど運転しなければならない。「おやすみ」をいう時に笑っていられるよう、気をつけなければ。そう思いながら、こどもたちが来るのを待った。

(おしまい)

 

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