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2006年5月14日 (日)

自然体験活動と私の感動

 私は、自然体験活動が大好きです。そして幸いなことに、かなり長い期間、そのことを仕事にしてきました。自然体験活動と一口に言っても、たくさんの活動があります。たとえば田植えや芋ほりなどの農作業体験、たとえば沢登りやシャワークライミングなどの冒険活動、たとえば登山、たとえばつり。
 どの活動にも感動はあります。本気で取り組めば取り組むだけ、感動も大きくなるものです。そんな中で、私が一番感動した自然体験活動といえば、おそらく、3000メートルクラスの山に、小学生と大学生リーダーが一緒になって、4泊5日かけてチャレンジしたキャンプではないかと思います。この企画は私と私の友人で大学の先生がいっしょに考えたものなのですが、多くの人たちは、「難しいのではないか」「しんどすぎるのではないか」ということをおっしゃいました。それはそうかもしれません。だって、テントも水も食料も担いで登るのです。もちろん、ロープウェイなんかありません。自分の足と、仲間の励ましだけが頼りです。このキャンプには、4年生から参加しています。果たして、本当に無事に行けるのか?そして、帰ってくることができるのか?
 私は、できると踏んだからこそ、企画し、募集しました。そして、なるべく安全に行えるよう、天気の安定する時期を見極め、幾度も下見をし、リーダーさんへの勉強会もし、自分の体力や気力も高めていきました。子どもたちにも、自分の力が十分に発揮できるよう、準備をすすめてもらいました。登山靴で歩くトレーニング、重い荷物を背負うトレーニング、寝袋やテントの使い方のトレーニング・・・。
 当日が来ました。予測どおりの快晴です。子どもたちも元気いっぱいで集合してきました。荷物を分配し、リーダーからの指示を聞いて、さあ、出発です。登山は最初の一歩から、苦しみとの戦いです。重い荷物を背負っていますから、のぼりも、くだりも、どちらも楽ということはありません。そして時間がたつごとに疲れはたまっていきます。そして、まあ当たり前のことではありますが、いくら時間がすぎたって、自分の足が前に進んでいなければ、目的地にはたどり着かないのです。進めば進むほど、後に帰ることは難しくなります。もう、行くしかないのです。
 私は、あえいで登る子どもたちを祈るような気持ちで見ていました。小さい子が、重い荷物に悲鳴をあげはじめました。
「おい、リュックをちょっとおろせよ。オレがおまえの水、持ってやる」
「オレは食料持ってやるよ」。
 リーダーからの声ではありません。仲間のこどもからの声です。すごいことを言い出す子どもたちだな、と私は感心しました。実際、そうでもしないと前には進めませんし、前に進めなければみんなが危機に陥ります。当然の判断といえますが、その当然の判断を、この場面で、子どもがキチンとできた、ということに驚いたのです。これはこの班の出来事だけではありませんでした。中にはあまりのつらさに、お母さんのことを思い出して涙を流してしまった子もいます。そんな子を励ましたのも、やはり、仲間のこどもでした。
 子どもたちは、ひとつの目標に向かって見事にまとまりました。まとまった子どもたちは、心がつながっています。この時見たものすごく大きな入道雲や、ドラマチックな夕日、心洗われるような朝日、そして満天の星、かわいい高山植物の花など、見たもの、触れたものひとつひとつに感動の声があがり、その感動がみんなに気持ちよく伝わっていきます。ひとりじゃない、仲間がいるって、こういうことなんだな、と私は思いました。そして、そうした偉大な景色や可憐な花との出会いが、間違いなく子どもたちのエネルギーになっている、という重要なことにも気がつきました。
 予定よりずいぶん時間はかかりましたが、こどもたちは皆、ひとりの落伍者も出さず、無事登頂し、そしてたくさんの思い出と一緒に下山することができました。今一口に下山といいましたが、そこにもいろいろな苦労があったものです。でも、ともかく、みんなベースキャンプに戻ることができました。
 さて、そのキャンプの閉会式の時。ひとりひとりが感想を述べます。どの子も、はっきりした声で、自分の気持ちを発表し、ここでも私は驚いてしまいました。キャンプの最初の、もじもじした様子はまったくないのです。そして、このキャンプのテーマソング、「ともだちになるために」を合唱します。誰からともなく、肩を組みはじめ、いつの間にか、涙の大合唱になりました。照れることなく、まっすぐ涙を流す子どもたち。
 「子どもは、大人が思っている以上の力を持っている」
普段、私の考えていることが、いくつもいくつも見られたキャンプでした。
 兄弟が少なくなり、自然も少なくなり、生活体験も少なくなったといわれる平成の子どもたち。でも、子どもの力は、その潜在能力は、磨かれることを待ちながらそこにある。まったく、宝物の山を見るような気持ちで、私は涙を流して歌い続ける子どもたちを見たものでした。

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