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2005年6月30日 (木)

山村留学における農園について

 山村留学に必須のものはいろいろあるが、農園はその中でも重要度は高いといってい い。ステレオタイプではあるが、田舎ぐらし=農業体験、みたいなところはあるのだから。
 
 さて、畑といっても作物はいろいろある。地域によってよくできる作物とそうでない作物もある。土壌の性質(PHとか)や降水量、気温などいわゆる気候が関連しているのだが、まずはそれにあった作物を選択することだ第一である。
 いたずらに「こどもの希望だから」ということで、その地域の誰もがつくっていないような作物を選択しても、だいたいうまくいくことは少ない。地域の方に相談しようにも、その人だって作ったことがないならわかるはずがない。
 そもそも、これから山村留学の指導者になられるような若者は、農作業体験は少ないに違いない。田植えはやったことがある、稲刈りはやったことがある、大根を抜いたことがる、ジャガイモを掘ったことがある、程度では、とてものこと「農作業を知っている」ことにはならない。
 そんな人達が山村留学に来るこどもたちといっしょに農作業をするといっても、それはムリとはいわないが、勉強することはとてもたくさんで、たとえばたとえ大学を出てたって(農業系でない限りは)今まで勉強してきたことはまったく役に立たないし、学ぶことは多いし、学び方も違うし、ケアのありかたがダイレクトに結果につながり場合によって取り返しのつかないことになるしで、つまり非常に難しい。チャレンジ精神の乏しい人なら腰がひけてしまうだろう。合理的、というかご都合主義的な人ならチャレンジすらしないかもしれない。もしかして自然の中でこどもってだけで満足しちゃってる人もいるかもしれない。(←でもこの態度なら自然のテーマパークに来ているようなもので、自然の中で暮らすことの意義を大きく勘違いしているような気がする。)
 
 話が横道にそれたが、つまり勉強することがうんとたくさんある。ところが山村留学の指導者は他にもたくさん勉強することがある。こどもの支援、指導のあり方もしかり、その前提となる理解の仕方についてもしかり、社会人としての常識だって身につけなければならないし、地域の人間関係におけるいろいろなことについても学ばなければならない。農業だけじゃない、林業体験もキャンプなどの野外活動についてもスキルを磨いていく必要がある。料理や掃除、こどもと遊ぶことについてもそうだ。とても農業だけにかかわっている場合じゃない。
 
 だからこそ、効率的に行う必要がある。それは地域で作りやすいものを作るということだ。それを知るためには、地域で農業をやっていらっしゃる方に教えを請うことが一番だろう。すでに何年も山村留学をしている団体であれば、もうマスターされているはずだ。それを若い人たちに伝えていく必要がある。
 いきおい、農作業は専門職化していく傾向がある。詳しい人が上手にやった方がいい結果がでるからだ。畑もキレイになる。でも、それでは後が続かない。多少畑がきれいにならなくても、結果が芳しくなくても、若い人にもどんどんやってもらうべきだし、若い人はどんどん畑にはいるべきだ。

 畑には毎日入ってほしい。そして作物の状況をよく見て欲しい。葉の色、育成や姿勢の勢い、根元の様子、害虫はついていないか、ケモノにやられた後はないか、花はついているか、実はなっているか、雑草はどうか。
 異常や気にかかることがあれば、適宜対応するのだが、異常かどうかわからない、ということも経験が足りない人の場合には起こりうる。これに対処するためには、畑には経験者と入るということが有効であるし、もしそういう状況がつくれなければ、デジカメでも持って行って、その状況を撮影し、経験者に見せる、などするといい。
 この際重要なのは、ちょっとした変化を甘く見ないということだ。今日はちょっとだけでも、明日にはもっと広がっているなんてことは普通にある。2,3日対応が遅れると、もう全滅、なんてこともあるのだから。
 
 作物についてであるが、どこでも作れる、という類のものもある。もちろん地域によって味や収量が変わってくるが、それでも作りやすい作物であることにかわりはない、というものだ。
 実ものではきゅうり、なす、ピーマン、豆類、地下なりものでは大根、ジャガイモ、葉物では小松菜、水菜がその代表的なものだろう。
 ただ注意が必要なのは、施設から畑までの距離と作るべき作物の関係だ。こどもと一緒に収穫作業したいというケースが山村留学の場合ほとんどだし、畑の世話も一緒にした方が当然いいのだが、実が次々なる作物(きゅうり、なす、ピーマン、豆類など)や葉物は、施設から遠い畑では作るべきではない。そうした作物は身近なところで、しょっちゅうこどもでも足が運べるところにあると良い。一方実はなるけど、一株に1個か2,3個というような作物(かぼちゃやトウモロコシ)や地下茎や根を収穫する作物は、施設からいくらか遠くても大丈夫だ。

 それと、チャンスがあれば稲作には是非挑戦してもらいたい。ことわっておくが、カンタンではない。プロのお百姓さんでも88の手がかかる、なんていうくらいだ(近年は農業をめぐる各種技術の発達でそれほどでもないが)。特に水の管理はナイーブで絶対にいいかげんなことはできない。しかし、艱難辛苦を乗り越えて黄金の稲穂を見るとき、たくさんの日本人が感じてきたのと同じ種類の感動を味わうことができるだろう。(できなければ、苦労がたりない(笑))自分でつくったお米の味は当然別格だ。

 農業体験は実に考えることが多い。気がつく人とつかない人では、畑の様子に歴然とした差がつくものだ。連作障害回避(特にマメ類)、土壌づくり、追肥、中耕、消毒、防除、害獣対策、気温のコントロール、雑草との戦い、雨、風、乾き・・・・ もの言わぬ作物は、しかしその姿で状況や問題を雄弁に物語る。気づかないのは不勉強か、もしくは観察不足だ。気づくことがまず第一。
 「気づく」→「対応策を考える」→「行う」→「成果を見る」・・・こうした体験学習法的サイクルが、畑にはある。また畑の環境をコントロールするのは自然だが、それに合目的的ななんらかの影響を与えることができるのは畑に関わる人間だ。自分が何かしないと、畑では何もおこらず、ただただ私たちの預かり知らぬところで命が流転してゆく。そんなことを感じるとき、ホモ・ファーベル(環境を変えていく工作者としての人間)たる宿命と使命について思いを馳せずにいられない。
 人間の人生で大切なこと、とりわけ教育や子育てで大切なことのヒントが、畑にはたくさんうまっている。

 私はこどもたちにも農業体験をしてもらいたいと望むが、山村留学の職員など(あるいは教員や保育士など)には、ぜひ畑と格闘してもらいたいと思う。自然保護も環境問題も、畑と格闘することで、地に足がついた発想が得られると思う。

 繰り返すが、畑には
「人生で大切なこと、とりわけ教育や子育てに大切なことのヒントがたくさんうまっている」

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